絵に描いたような現代家族のお話

長男夫婦はスープの冷めない距離のところで
マンション住まいをしている
だから、お姑さんとお嫁さんは常に行き来をして
お友達みたいに付き合っているといいます

お姑さんがそのお嫁さんについて最も気に入っているのは
うわべは上手ごかしを言えないが、素直で心優しい人柄だそうです
その心優しさが、仏事をめぐって家庭にちょっとした
波紋を巻き起こしたから困りましたとさ

台所まわりを担当していたお嫁さんがふともらした
素朴な疑問が発端になったのです
「 生きている身内の者ばかり飲み食いして、肝心の
おじいちゃん( 故人 )には何も差し上げないのですか? 」
お嫁さんの実家は真宗ではないので、仏事のときには
小さなお膳に精進料理を特別に調理してお供えしていたといいます

お姑さんは早速、それをご主人に告げると
「 うちではそんなことをしない 」という返事に
「 何故しないのか 」とお嫁さんが口をはさんだのが
悪かったようです
「 実家のやり方で指図するのか 」とご主人は
つむじをまげて気まずいことになりました

このような話をすると" 真宗の門徒は亡き人に対して冷たい "
というように受け取れないでもありません
しかし、それは思いすごしです

お浄土に生まれさせていただいたものは、いつも
百味の飲食( おんじき )にとりかこまれていると
お経( 大無量寿経 )にあります
そのうえ、誰も食べる者がなくて、その美しさを見
香りをかいだだけで満足するとあります

娑婆では食欲がないと心配ですが、お浄土では
それがこの上もなく清浄極まりない世界なのです
だから、今さら特別に調理して差し上げる必要もなく
真宗では" 霊供膳 "というしきたりもありません

ともあれ、この若いお嫁さんの場合、その心の優しさと
素朴な疑問から、お念仏を喜ぶ身になっていただければなにより